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シンプルに逆行列を求めたい

概要

逆行列をシンプルに求める方法についてまとめたページです.多くの数値計算においては通常逆行列は必要なく、逆行列を求めることなく線形連立方程式の解を求めることができます.どうしても求めたいときの方法です.
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この章を学ぶ前に必要な知識
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条件
  • 行列式が0でない行列
効果
  • 逆行列が求まる
  • 与えられた行列と逆行列を掛け合わせると単位行列
ポイント
  • 逆行列を求める幾らかの手法がある
  • Gauss-Jordan法よりLU分解の方が逆行列を高速に求められる

解 説

シンプルに逆行列を求める方法についてまとめます. 正則行列は逆行列を持ち、 逆行列が存在する必要十分条件は行列の行列式が0でないことです. ここでは主に以下の手法について紹介します. ・掃き出し法 ガウスの消去法またはガウス・ジョルダン消去法とも言われる.(厳密には異なる) LU分解より計算が多くなるため、逆行列を求める場合通常こちらは使われない.最も基本的な手法. ・余因子行列による方法 ランクが低い行列で使用する分には使える.ランクが高い行列では計算が大変になる. ・LU分解による方法(コレスキー分解による方法) 上三角行列や下三角行列から逆行列が求めやすいことを利用.O(n^2)で解ける
シンプルに逆行列を求めたい

1.掃き出し法

掃き出し法は行同士を足したり引いたりすることで、逆行列を求める手法です.
掃き出し法
$$Ax = y = Ey$$ $$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{rrr} 1 & 7 & 11 \\ 2 & 5 & 4\\ 3 & 9 & 6 \end{array} \right) \end{eqnarray} \left( \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{array} \right) = \left( \begin{array}{rrr} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0\\ 0 & 0 & 1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} y_1 \\ y_2 \\ y_3 \end{array} \right) $$ $$ \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{rrr} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0\\ 0 & 0 & 1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{array} \right) = A^{-1} \left( \begin{array}{c} y_1 \\ y_2 \\ y_3 \end{array} \right) \end{eqnarray} $$
Ax=yの形を行列を足し引きすることで下の式に変形するのが、 掃き出し法による逆行列の算出です.

2.余因子行列

逆行列の各要素は、余因子を行列式で割ったものであるという性質を利用して、逆行列の各要素を一つずつ計算していきます.
余因子行列による逆行列の算出
余因子はi行j列目に注目しているときに与えられている行列Aからi行目の全要素とj行列の全要素を削除して得られる行列の行列式です. 余因子の算出後は行列全体の行列式で割って、逆行列を求めるのみです.
余因子の算出

3.LU分解

行列を上三角行列と下三角行列に分解することで、それらの逆行列を求めて、もともと求めたかった行列の逆行列を求めます. 上三角行列や下三角行列は容易に逆行列を求めることが可能です. LU分解の方法は右のリンクで確認してください.
行列を分解して上下三角行列が欲しい
$$A=LU$$ $$I=AA^{-1}=(LU)(LU)^{-1}$$ $$A^{-1}=U^{-1}L^{-1}$$
Lは下三角行列(lower) Uは上三角行列(upper) (LU)-1からU-1L-1の変換は公式から LとUの逆行列は容易に求まる.
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知識: 行列を分解して上下三角行列が欲しい
与えられた行列を分解して上三角行列と下三角行列を求める手法についてまとめたページです.英語では分解をDecompositionまたはFactorizationと言い, LU分解(LU decomposition), LU分解の特別な場合のコレスキー分解(Cholesky decomposition)と言います.